生物絶滅に対する取り組み

地球のシステムは、さまざまな野生生物のつながりによって成り立っています。もし野生生物の絶滅が進行すると、人間の生活や存続にも危険が及ぶことは容易に想像できます。人間は生態系メカニズムのすべてを把握しているわけではなく、地球の環境維持に必要な知らないうちに生物種が絶滅してしまうことも考えられるのです。そういった生物種がもしいなくなってしまうと、再び登場させることはできません。

たとえば、日本でトキが絶滅してしまったのは、農薬の散布によってトキのエサになる虫などのエサが減少してしまったのが原因だと言われています。もしトキが日本の環境維持に不可欠な生物種だったら、日本人の存続が危ぶまれたことでしょう。不幸中の幸いにもそうではありませんでしたが、今後はそういったことが起こりうる可能性もあります。

1975年にワシントン条約が締結され、動植物の国際取引を規制して乱獲が起こらないようにする取り組みがなされました。さらに、ラムサール条約では水鳥などの生息地となる湿地を保全することを掲げ、「生物の多様性に関する条約」では生態系や種を保全するために保護地域を設定するなどの取り組みが行なわれています。

今後の生物絶滅状況とは?

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実は、現在カエルの数が世界的に減っていることが知られています。調査によると、オゾン層の破壊が原因と報告されています。紫外線のB波がカエルノ卵にあたると、ふ化することができなくなってしまうのです。オゾン層は今から4億年前に、地球の年齢からすればようやく形成されたわけですが、そのおかげで海から両生類が地上に這い出してくることができるようになりました。しかし、現在はオゾン層の破壊により最初に絶滅しかかっているのです。両生類は紫外線に弱いため、減少しているのはカエルだけではありません。

酸性雨の問題もあります。ヨーロッパなどは酸性雨が深刻なことで知られていますが、そのために「死の湖」となって生物が住めなくなった湖沼が大量に発生しています。その生物を食べて暮らしていた別の生物も減少するほか、樹木も枯れやすくなってさまざまな生物が影響を受けます。

環境ホルモンの影響も現れてきました。鹿児島県錦江湾で雌雄同体の遺伝子異常の貝類が大量に発生しているため、今後は繁殖ができずに激減・絶滅すると考えられています。

地球温暖化も絶滅を促します。二酸化炭素の濃度が増えるために地球の気温が上昇していき、環境になじめない種は徐々に数を減らしていきます。さらに、海水温度も上昇するためサンゴ礁、およびそこで暮らしている生物種も危機にさらされています。

IPCCの調査によると、世界の陸地の8割以上の場所で生物の絶滅が起こる可能性があるとされています。

現在の絶滅の原因とは?

人間が登場するまでの地球では、生物種の絶滅は生物同士の争いや環境に適応できないことによって起こる場合がほとんどでした。しかし、19世紀以降の絶滅の理由は人間の乱獲によるものがほとんどです。食べるために捕獲することもありますが、中には単純に美しいからとか、珍しいという理由で乱獲され、絶滅した動物も数多くいます。

しかし、実際にはこれもまだましなほうでした。最近の絶滅は人間による生息地の破壊がメインであり、そのエリア一帯の動物がまとめて絶滅するといった事態が起こっています。生態系そのものが壊されるので、一気に複数の生物種がいなくなってしまうのです。

私たち人間が住みやすいように、森林や干潟、小川などはコンクリートで固められ、河川にはダムができました。さらには、山を切り開いたり、草原をゴルフ場にするなどして広大な土地が整備されました。その結果、モグラやミミズなどの土の下で暮らしている生物が生きていけなくなったほか、森林などの生態系も破壊されてしまいました。

とくに、熱帯雨林地域では焼畑農業などによって急速に森林が失われており、同時に生物種の死滅も起こっています。

さらには、土壌汚染や水質汚染によって生きていけなくなった生物種もたくさんいます。

現在の生物種絶滅問題

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現在、世界にはさまざまな生物種が暮らしています。種というのは生物の分類の単位を示し、その「種」の生き物が地球からいなくなることを「絶滅」と言います。日本ではトキやニホンオオカミなどの「種」が絶滅したことで知られています。

生命が誕生してから40億年が経過したと言われていますが、それまでの過程で2000万種の生物が誕生してきました。そのうちの一部はすでに絶滅していますが、途中で新たに生まれた種もあります。人間は種でいえばまだまだ新参者といえるでしょう。

そして、地球は種がまとめて絶滅する「大絶滅」という経験もしてきました。有名なのがおよそ7000万年前におきた、巨大隕石の衝突による大絶滅です。このとき、恐竜はほぼすべて絶滅してしまいましたが、絶滅したのは共有だけでなく、世界中の生物の3/4が消えてなくなったとされています。

しかし、現在起こっている絶滅スピードはこの比ではありません。1年間に絶滅する種の数は、恐竜の時代は年間0.001種なのに対し、現在は1日に100種もの絶滅が起こっています。1年間では4万種なので、毎年大絶滅が起こっていると言っても過言ではありません。

このまま絶滅速度が上がっていくと、30年後には地球上の全生物の1/4が消え失せてしまうことになります。